寝藁ねわら)” の例文
一頭の豚は、男が親切に、とり替へてやつた寝藁ねわらを蹴飛ばし、水桶をひつくり返して、小屋中水だらけにして広い除虫菊畑にとびだしました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
立止まるとふきを混ぜた味噌汁の匂いと家畜の寝藁ねわらの匂いとしずかに嗅ぎ分けられた。作太郎は廊下や柱や壁をしみじみとした愛感で撫で乍ら歩いた。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
されど、そは諸君が寝藁ねわら打乱れたる犬小屋、若しくはふんにまみれし鳥の巣を覗見のぞきみたる時感じ給ふ心地好さに御座候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
三人は小屋に這入はいった。入口の右手に寝藁ねわらを敷いた馬の居所と、皮板を二、三枚ならべた穀物置場があった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
併し物音は馬が寝藁ねわらの上に転がつたのであつた。八は潜戸に掛けた手を離して、そこらを見廻した。玄関の、向つて右が竹垣で、其中は庭と見えて、側柏ひのきのやうな木の頭が二三本覗いてゐる。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼らはたがいに猛然と取っ組み合っていて、両方より迫ってる岩壁の彼方に、上方に、何があるかを夢にも気づかないでいる。——さらに下方には、沼沢と寝藁ねわらの中にころがってる家畜ども。
寝藁ねわらごとく踏みにじらる……
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)