宿駅しゅくえき)” の例文
郊外の林地りんち田圃でんぽに突入する処の、市街ともつかず宿駅しゅくえきともつかず、一種の生活と一種の自然とを配合して一種の光景をていしおる場処を描写することが
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
琥珀の吸口のついたトルコ煙管もあれば、どこかの宿駅しゅくえきで彼に首ったけ惚れこんだ、さる伯爵夫人が刺繍をしてくれたのだという煙草入もあって、その伯爵夫人の可愛らしい手は
北陸地方へ行くと、前のほうを総称してシュク屋というが、この名はもと、宿駅しゅくえきの家ということで、街道往還かいどうおうかんの左右の家だけは、なるべくこういう屋根ばかりを、葺かせることにしたのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大名が東海道を通行して宿駅しゅくえきの本陣に止宿するくらい胸算きょうさんに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
神官達の案内で、頼朝よりとも狩倉かりくらのあとをただし、白糸の滝を見物し、また、しばし浮島うきしまはらに馬を立てて、うすずく夕富士にわかれを告げながら、やがて大宮の宿駅しゅくえきへさしてこの行軍はゆるやかに流れていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)