定府じょうふ)” の例文
一番はなやかで人の目につくのは、十九になる八重という娘で、これは父が定府じょうふを勤めていて、江戸の女を妻に持って生ませたのである。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
国表では使い難いそうだから江戸へ廻せという程度で、定府じょうふの方に転役させて、何も云わずにいた。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文久元年、旧同藩士の媒妁をもって同藩士族江戸定府じょうふ土岐太郎八ときたろはちの次女をめとり、れが今の老妻です。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
最後の将軍徳川慶喜よしのぶが上野寛永寺にったのちに、江戸を引き上げた弘前藩の定府じょうふの幾組かがあった。そしてその中に渋江氏がいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
比良野貞固さだかたは江戸を引き上げる定府じょうふの最後の一組三十戸ばかりの家族と共に、前年五、六月のこう安済丸あんさいまるという新造帆船ほぶねに乗った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この年弘前藩では江戸定府じょうふを引き上げて、郷国に帰らしむることに決した。抽斎らの国勝手くにがっての議が、この時に及んでわずかに行われたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)