嬌媚きょうび)” の例文
「自惚でない。承った、その様子、しからん嬌媚きょうびていじゃ。さようなことをいたいて、わかい方の魂をとろかすわ、ふん、ふふん、」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
クリストフから見ると、それはたまらなく退屈なもので、冷淡乾燥で、嬌媚きょうび衒学げんがくを事としてる嫌味いやみなものだった。
マタ・アリはこっちから、大きな眼に精一杯の嬌媚きょうびめて、じっとその様子を眺めている。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
掏摸すりとまちがわれて追っかけられ、ようよう櫛まきお藤の家へ飛びこんでほっと安心——するまもなくその旅装から左膳との謀計ぼうけいを疑われて、お藤の嬌媚きょうびで骨抜きの捕虜にされてしまった形。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)