媒介なこうど)” の例文
よし、お前がそれほどに思っているならば、おれが媒介なこうどをして六三郎と一緒にしてやるから、いつまでも可愛がってやれ。
子供役者の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何卒どうかお母さん得心してすみやかに承諾して下さい、僕が媒介なこうどする、お聞済きゝずみなれば誠に満足で、何うかひらに御承知を願いたい
するうち、演出家を恋人にしている亀子という仲間の女がおなかを大きくさせた。そして座長の人気役者が媒介なこうど役を買って出て目出度めでたく結婚させることになった。
心づくし (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「あの人の婚礼がすんだら、私たちも誰かを媒介なこうどに頼んで、お杯をしましょうか。あんまり年を取らないうちに、そんな写真も取っておきたいじゃないの。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
間もなく、小島郡司武弘こじまのぐんじたけひろ媒介なこうどで、嫁御寮は、嫁いできた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うららかな春らしい天気の続いた或日、鶴さんは一日つぶしてお島と一緒に、媒介なこうどの植源などへ礼まわりをして、それからお島の生家さとの方へも往ってみようかと言出した。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
われが改心致せばい女房を世話して遣ろうと云ったは松屋にかくまってあるお蘭の事だ、手前全く改心致せば、れ程までに思うお蘭の心を憫然ふびんに思い、山三郎媒介なこうどいたして連添わせようと申したのだ