娼妓じょろう)” の例文
同じ露地の隅田川の岸には娼妓じょろうの用いる上草履うわぞうりと男物の麻裏草履とが脱捨ててあッた事が知れた。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御説に因れば、好いた女なら娼妓じょろうでも(と少しおまけをして、)構わん、死なば諸共にと云う。いや、人生意気を重んず、(ト歯をすすって)で、ごわりまするが、世間もあり親もあり……
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
午前あさの三時から始めた煤払いは、夜の明けないうちに内所をしまい、客の帰るころから娼妓じょろうの部屋部屋をはたき始めて、午前ひるまえの十一時には名代部屋を合わせて百幾個いくつへやに蜘蛛の一線ひとすじのこさず
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
わし伊豆いず網代あじろへ行ったことがある、其処に売られて来た芸妓げいしゃは、矢張叔父さんにだまされて娼妓じょろうにされまして来たと云うので、涙を落しての話で有ったが、それはお気の毒な事だねえ、左様でげすか
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
娼妓じょろうの用いる上草履と男物の麻裏草履とが脱ぎ捨ててあッたことが知れた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
芸妓げいしゃ娼妓じょろうでも囲いあがりゃ、いざこざはちっともねえが、うぬが病家さきの嬢さんの落目をひろッて、掻きあげにしやあがったは、何のこたあねえ、歌を教えて手を握る、根岸の鴨川同断だ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
峯「うめえ物でも食って娼妓じょろうでも買え」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その上、癡言たわことけ、とお叱りを受けようと思いますのは、娼妓じょろうでいて、まるで、そのおんな素地きじ処女むすめらしいのでございます。ええ、他の仁にはまずとにかく、てまえだけにはまったくでございました。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)