奸夫かんぷ)” の例文
左すれは貴公の鑑定では先ず奸夫まおとこと見たのだナ奸夫かんぷが奸婦としのび逢て話しでも仕て居る所へ本統の所夫おっとの不意に帰って来たとか云う様な訳柄わけがらで(大)爾です全く爾です
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
……ところがこのたび、当地の盧員外ろいんがいどのが、淫婦いんぷ奸夫かんぷのはかりにち、かつまた貪官汚吏どんかんおりの手にかかって、あえなく獄にとらわれ召された。いやすでにめい旦夕たんせきの危急と聞く。……で。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞしは旦那というが本当の亭主で、此の男が奸夫かんぷかも知れず、なんにいたせ尋常の者でない上に、無慈悲千万な奴だと思いますれば、まことの親でも少しも有難くございません、それに引換え
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の時の男というは此の幸兵衛か、たゞしは幸兵衛は正しい旦那で、奸夫かんぷは他の者であったか、其の辺の疑いもありますから、とくと探索した上で仕様があると思いかえして、何気なく肌を入れまして
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)