大衆たいしゅう)” の例文
夕ぐれの風が、矢来やらいの竹にカラカラとものさびしい音を鳴らすほか、むらがった大衆たいしゅうも、シーンとして、水のようにひそまっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいかげんな約束やくそくをして、民衆みんしゅうだいにし、ただ当選とうせんすれば、いいとしたのだ。そして、いよいよ権力けんりょくつと、自分じぶんたちの都合つごうばかりかんがえて、大衆たいしゅうてられてきたのだ。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、五十余名の大衆たいしゅうが、シタシタと足をひいて、まえをみると、かすみのふかい松並木まつなみきのかげから、忽然こつぜんとおどりだした年わかい怪僧かいそうがあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつもうえのほうにいて、命令めいれいするものだと、おもっているから、きゅうに、いっしょになって、わらったり、はなしたりすることができぬのです。おそらく、大衆たいしゅうが、そうでしょう。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、考えてみると、自分たちはここでれがましい武名ぶめい大衆たいしゅうに売ろうというのではない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)