大海おおうみ)” の例文
国家を一人で背負しょって立つような意気込みを見ると——兵馬はどうも、知らず知らず自分が大海おおうみへ泳ぎ出したような心持もするのです。
「しかし、高いところへ登って西の方を見ましても、そちらの方はどこまでも大海おおうみばかりで、国などはちっとも見えないではありませんか」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
一九〇六年に出た Time and the Gods のうちの予言者が云ってる——大王よ聞きたまえ、地に一つの河あり大海おおうみにそそぐ、その水は無限の中をさかまき流れ
ダンセニーの脚本及短篇 (新字新仮名) / 片山広子(著)
大海おおうみに島もあらなくに海原うなばらのたゆとう波に立てる白雲」という万葉の歌に現われた「大海」の水はまた爾来じらい千年の歳月を通してこの芭蕉翁の「荒海」とつながっているとも言われる。
俳句の精神 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それはエーテルの大海おおうみに、木の葉のように飜弄ほんろうせられるシグナルでありました。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
大海おおうみのいそもとどろによする波われてくだけてさけて散るかも
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
大海おおうみよ、われ汝を憎む。狂ひと叫び
ところが末のお子さまの須佐之男命すさのおのみことだけは、おとうさまのお言いつけをお聞きにならないで、いつまでたっても大海おおうみを治めようとなさらないばかりか
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
大海おおうみのいそもとどろによする波われてくだけてさけて散るかも
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
多遅摩毛理たじまもりはかしこまって、長い年月としつきの間いっしょうけんめいに苦心して、はてしもない大海おおうみの向こうの、遠い遠いその国へやっとたどり着きました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
船はすぐに帆を上げて、もと来た大海おおうみへ引きかえしました。王女はその途中で、お城から持って来た鍵のたばを、人に知れないように、海の中へなげすてました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
船は追手おいての風でなみの上をすらすらと走って、間もなく大きな大海おおうみ真中まんなかへ出ました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)