大槌おおづち)” の例文
そのおだやかな説得力をもった「霜解けソー」は大槌おおづちをもった雷神ソールより力づよい。前者は溶かしてしまうが後者はこなごなにくだくにとどまる。
かつて夜遊びに出でて遅くかえり来たりしに、主人の家の門は大槌おおづち往還に向いて立てるが、この門の前にて浜の方よりくる人に逢えり。雪合羽ゆきがっぱを着たり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「左様でござります、なんにしても乱世でござりますから、盗賊も大袈裟おおげさで、掛矢かけや大槌おおづちを以て戸を表から押破って乱入致し、軍用金を出せ、軍用金を出せとおどしますとやら」
大槌おおづち棍棒こんぼうで打ち壊したらしい門内へ、およそ三十人ばかりの賊がなだれ込んで、土蔵を破壊し、全家族をくくし上げ、手燭を持ち廻って、大がかりな掠奪りゃくだつにかかっている様子であった。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五一 山にはさまざまの鳥めど、最もさびしき声の鳥はオット鳥なり。夏の夜中よなかく。浜の大槌おおづちより駄賃附だちんづけの者など峠を越え来たれば、はるかに谷底にてその声を聞くといえり。昔ある長者の娘あり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)