大寺おおでら)” の例文
今宵はあまり客も混雑せず、大寺おおでらにでも泊ったような気持。静かにしていると、ふすまを洩れて聞ゆる男女の小声が、竜之助の耳に入ります。
大寺おおでらの鐘の音を聞いていると、白楽天の詩にある遺愛寺いあいじの鐘を聞く想いがし、又西山にしやまの雪景色は香炉峰こうろほうの眺めを思わせた。
七十を一つ二つ越えたかと思われる年恰好で、頭は禿げあがって毛が一本もなく、大寺おおでらの和尚といった見かけであった。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
今はすで物故ぶっこしたそうですが、れは東本願寺の末寺まつじ光永寺こうえいじと申して、下寺したでらの三ヶ寺ももって居るず長崎では名のある大寺おおでら、そこの和尚が京にのぼって何か立身してかえって来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
重々恐入った次第で何分にもおゆるしを願います、主家しゅか改易の後、心得違いを致して賊のかしらとなり、二百人からの同類を集めて豪家ごうか大寺おおでらへ押入り、数多あまたの金を奪い、あるい追剥おいはぎを致し