大和武尊やまとたけるのみことさまのような、あんな御立派ごりっぱなおかたが、何故なぜなれば海神かいじんいかりをわれたか?——これはおそらくどなたも御不審ごふしんてんかとぞんじまするが、じつわたくしもこれにつきて
あれほどの真心まごころなんですぐ神々かみがみ御胸みむねつうぜぬことがあろう。それがつうじたればこそ大和武尊やまとたけるのみことには無事ぶじに、あの災難さいなんりぬけることが出来できたのじゃ。橘姫たちばなひめ矢張やはまれるすぐれた御方おかたじゃ。