おろ)” の例文
旧字:
毎日書きつけてゐるこれらのノオトは、うつかりすると書いて発表するかもしれない「悪いもの」を、うまくおろしてしまはうといふわけなのだ。
日記について (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
先生は、卑怯なんでございますね、もし、その上わたしが、では子をおろす仕方はどう、またそのいい薬があったら教えて頂戴と、本当に切り出したらどうなさいます。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しッこしもない癖に、情人いろなんぞこしらえて、何だい、はらむなんて不景気な、そんな体は難産ときまってるから、血だらけになって死なないようにとお慈悲でおろしてやったんだ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふん、色男もすさまじいや、うぬはらませたおろされりゃ沢山じゃあないか、お政府かみへ知れて見ろ、二人とも、泥をかじるんだい。知ってていわないのはお慈悲だと思うが可い。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つきやくを流す薬が幾通りあって、子をおろす手段が何箇条あるか、子を産んで間びく方法が幾通りあって、どういうふうに、どういう階級で行われてるか、洗いざらいみんな話してやる
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それだから円輔も大学へ入る処をさらりとして、落語家はなしかとなったような訳だと、思ったんでげすが、いや、世の中へ顔出しも出来なくなった処で、子をおろしたと聞いて
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)