たひら)” の例文
佐賀市を距る十数里、小城をぎを通ぜる国道と会し、往方ゆくてたひらかなること砥のごとく、しばらくにして牟田部むたべをすぐ、ここも炭坑のあるところなり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
四月洗心洞剳記せんしんどうさつきに自序し、これを刻す。頼余一に一本をおくる。又一本を佐藤たひらに寄せ、手書して志を言ふ。七月十七日富士山に登り、剳記を石室に蔵す。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
心の影の其処そこに映るをながむらんやうに、その美き目をば唯白くたひらなる天井に注ぎたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
日射ひざしは午後四時に近い、西向の校舎は、うしろの木立の濃い緑と映り合つて殊更に明るく、授業はとうに済んだので、たひらかな運動場には人影もない、夏も初の鮮かな日光が溢れる様に流れた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
日射ひざしは午後四時に近い。西向の校舍は、後ろの木立の濃い緑と映り合つて殊更に明るく、授業は既に濟んだので、たひらかな運動場には人影もない、夏も初の鮮かな日光が溢れる樣に流れた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)