土圭とけい)” の例文
こよいも、土圭とけいの間の土圭はすでに、うし(午前二時)を報じている。——が今、湯殿から出て来た秀吉は、さあこれからといわぬばかりだ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無礼講の酒宴にぐたぐたに酔ってしまった若武士たちは、九つのお土圭とけいが鳴るのを合図に総立ちになって退出しようとすると、急にお傍用人が奥殿から駆けつけて来た。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
……九時の土圭とけいが鳴った。そして間もなく、御同朋頭が町奉行石谷因幡守いなばのかみの参入を報じた……直弼はうなずいて、引寄せてあった火桶を押しやった。因幡守穆清は蒼白い痙攣ひきつったような表情をしていた。
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「御小憩がおすみに相成りましたら、とり下刻げこくのお土圭とけいをあいずに、二の丸の御仏殿までおわたり下さるように」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今、扇屋を出てくる前に、あそこの土圭とけいが鳴っていたが」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土圭とけい点鐘てんしょうは、ひるを報じていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)