まろ)” の例文
旧字:
この日丁度午過ひるすぎからごく軽い風が吹いて、高い処にも低い処にもまろがっていた雲が少しずつ動き出した。そして銀色に光る山の巓が一つ見え二つ見えて来た。
木精 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
霧がまろくなり、筋になり、樹の間から立つ、森からも、谷底からも、ふわりと昇る、例の山款冬やまふきの茎を、醤油と鰹節とで煮しめて、さいにする、苦味のない款冬である、それから昨夕の残飯に
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)