)” の例文
言いようのない憂鬱ゆううつが、しばしば絶望のどん底から感じられた。しかも狂犬のように執念深く、自分はこの問題にじりついていた。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
音もさらさらと天の眞名井の水にそそいでみにんで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はマサカアカツカチハヤビアメノオシホミミの命
ここにおいて牧羊犬と猫が、懸命になって免状を捜したが、はつかねずみんでしまったので見当らなんだ。猫大いに怒って鼷と見れば殺して食う事となった。
恐らくこの男は詩人ロングフェロウの言葉を聞きじって居たのを、大富豪ロックフェラアに結び附けて而もロックフェラアを大学者にしてしまったに相違ない。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
まるるともさるるとも、口縄の朽ち果つるまでかくてあらんと思い定めたるに、あら悲し。薔薇の花のくれないなるが、めらめらと燃えいだして、つなげる蛇を焼かんとす。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
左手を深々と内懐から帯の下にさし入れて、右手の爪をぶつりぶつりとみ切りながら。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そのうちに森のなかに入り込んだので、わたしは馬を降りて歩きはじめると、木の枝が柔かに私の顔をなでるのです。わたしは時どきに木の葉の一枚をむしり取って、歯のあいだでんだりしました。
音もさらさらと天の眞名井まないの水でそそいでみにんで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神の名はタギリヒメの命またの名はオキツシマ姫の命でした。
大気燄だいきえんである。奥歯でつぶした癇癪玉かんしゃくだまが炎となって鼻の穴から抜けるので、小鼻が、いちじるしくいかって見える。越後獅子えちごじしの鼻は人間がおこった時の恰好かっこうかたどって作ったものであろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今のはたしかに鼠ではない。せんだってなどは主人の寝室にまで闖入ちんにゅうして高からぬ主人の鼻の頭をんで凱歌がいかを奏して引き上げたくらいの鼠にしてはあまり臆病すぎる。決して鼠ではない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)