喪章もしょう)” の例文
ただちにを発し、泊中の者は頭巾に喪章もしょうをつけ、また宛子台えんしだいの上には黒い喪旗もきが掲げられ——一山、哀号あいごうのうちに沈みきった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは、人間の悲しみと同じように、はかない喪章もしょうの旗です! 王たちは、なんて静かにまどろんでいるのでしょう!
この喪章もしょうと関係のある球の中から出る光線によって、薄く照らされた白衣はくいの看護婦は、静かなる点において、行儀の好い点において、幽霊のひなのように見えた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
細君が鶴子の為に母屋おもやの小さな床に茄子馬なすうまをかざり、黒い喪章もしょうをつけたおもちゃの国旗をかざり、ほおずきやら烏瓜からすうりやら小さな栗やら色々供物くもつをならべて、于蘭盆うらぼんの遊びをさせた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それでさ、おかみさんがらすも、やもめになって、黒い毛糸の喪章もしょうを足につけてね、ないてばかりいるっていうけれど、うわさだけだろう。さあ、こんどは、あれからどんな旅を
幕僚は、その場で皆、喪章もしょうをつけた。——そして将軍旗の竿頭かんとうにも、弔章ちょうしょうが附せられた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美しいギリシャの少年が円柱によりかかって、むかし威力いりょくを物語る戦勝記念標の高い旗竿はたざおを見上げています。旗は喪章もしょうのように垂れさがっています。ひとりのむすめがそこで休んでいます。
芝居小屋はしまってしまうし、菓子屋のおかみさんたちは、砂糖菓子の子ブタに、黒い喪章もしょうをまきつけました。王さまと牧師さんたちは、教会でひざまずいて、神さまにお祈りをしました。