喧嘩いさかひ)” の例文
うつくしきかほ似合にあはぬはこゝろ小學校通せうがくかうがよひに紫袱紗むらさきふくさつゐにせしころ年上としうへ生徒せいと喧嘩いさかひまけて無念むねんこぶしにぎときおなじやうになみだちて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
姉妹の喧嘩いさかひはまゝある事ぢや。珍らしうもあるまい。時に今日ももう暮るゝぞ。秋のゆふ風が身にしみるわ。そち達は奧へ行つて夕飯の支度、燈火あかりの用意でもせい。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
照子は『ノラ』の名前は聞いてゐたが、それは松井須磨子のお友達で、人形屋の女房かみさんで、借金で亭主と喧嘩いさかひをしてうちを飛び出した女だ位に覚えてゐるのに過ぎなかつた。
かかる日は喧嘩いさかひもしき。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
見ると、この懐疑哲学者は、やきもち焼きの女房と喧嘩いさかひでもしたものと見えて、脊をしたゝか噛み切られて、そこから赤い血がたら/\流れ出して、白い胸あてを汚してゐた。
かかる日は喧嘩いさかひもしき。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
大隈侯の考へではノラのやうな女になれとでも言ふのらしいが、照子は寡婦ごけの成金で、喧嘩いさかひをしようにも肝腎の亭主がない。そしてその上にも物足りない事は借金が無いといふ事だ。