“咒詛(のろい)” の例文
有恁(かくて)予は憐むべき美少年の為に、咒詛(のろい)の釘を抜棄(ぬきす)てなんと試みしに、執念(しゅうね)き鉄槌の一打は到底指の力の及ぶ所にあらざりき。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『お前さんが誓を破ったが最後、咒詛(のろい)が落ちかかって行くからね。そうよ、私の咒詛がね。それもお前さん承知だろうね。私の咒詛は恐ろしいよ。私はジプシイの娘だから』
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何も言わずに、心に怨んで、薄情ものに見せしめに、命の咒詛(のろい)を、貴女(あなた)様へ願掛(がんが)けさしゃった、姉(あね)さんは、おお、お怜悧(りこう)だの。いいお娘(こ)だ。いいお娘(こ)だ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何(なん)と、丑(うし)の刻(とき)の咒詛(のろい)の女魔(にょま)は、一本歯(ば)の高下駄(たかげた)を穿(は)くと言うに、些(ち)ともの足りぬ。床几(しょうぎ)に立たせろ、引上げい。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
禰宜 いや何とも……この頃(ごろ)の三(み)晩四(よ)晩、夜(よ)ふけ小(さ)ふけに、この方角……あの森の奥に当って、化鳥(けちょう)の叫ぶような声がしまするで、話に聞く、咒詛(のろい)の釘かとも思いました。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唯(ただ)単に迷信のみにて、実際成立(なりた)たざる咒詛(のろい)にもせよ、かかる罪悪を造る女心の浅ましく、はたまた咒わるる男も憐むべしと、見るから不快の念に堪えず直ちに他方に転ぜんとせし視線は
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何でも願が叶(かな)うと云います……咒詛(のろい)も、恋も、情(なさけ)も、慾(よく)も、意地張も同じ事。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)