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咄嵯
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とっさ
ふりがな文庫
“
咄嵯
(
とっさ
)” の例文
決然として振り払えば、力かなわで手を放てる、
咄嵯
(
とっさ
)
に巡査は一躍して、棄つるがごとく身を投ぜり。お香はハッと絶え入りぬ。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伝吉は
後
(
うし
)
ろ手に障子をしめ、「
服部平四郎
(
はっとりへいしろう
)
」と声をかけた。坊主はそれでも驚きもせずに、
不審
(
ふしん
)
そうに客を振り返った。が、
白刃
(
しらは
)
の光りを見ると、
咄嵯
(
とっさ
)
に
法衣
(
ころも
)
の
膝
(
ひざ
)
を起した。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
生きた心地も無いこの哀れな青年を前にして、技手は全く途方にくれたようであったが、一方空っぽにして来た変電所の事も気になるらしく、
咄嵯
(
とっさ
)
に
何
(
ど
)
うにか、後始末の手段を考えてくれた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
虹汀、修禅の
機鋒
(
きほう
)
を以て、身を転じて
虚
(
くう
)
を斬らせ、
咄嵯
(
とっさ
)
に大喝一下するに、
彼
(
か
)
の武士白刃と共に空を泳いで走る事数歩、懸崖の突端より踏み
外
(
はず
)
し、月光漫々たる海中に陥つて、
水烟
(
すいえん
)
と共に消え失せぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし金将軍は少しも
騒
(
さわ
)
がず、
咄嵯
(
とっさ
)
にその宝剣を目がけて一口の
唾
(
つば
)
を吐きかけた。宝剣は唾にまみれると同時に、たちまち
神通力
(
じんつうりき
)
を失ったのか、ばたりと
床
(
ゆか
)
の上へ落ちてしまった。
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
いうまじき事かも知れぬが、辻町の目にも
咄嵯
(
とっさ
)
に印したのは同じである。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
咄
漢検1級
部首:⼝
8画
嵯
漢検準1級
部首:⼭
13画
“咄”で始まる語句
咄嗟
咄
咄々
咄喊
咄合
咄堂
咄〻
咄吃
咄咄
咄家