“とっさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
咄嗟86.8%
突嗟10.3%
咄嵯1.3%
突瑳0.9%
突差0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「やっつけたな!」咄嗟とっさに私は少年のままの君の面影を心いっぱいに描きながら下くちびるをかみしめた。そして思わずほほえんだ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
林は確にエリスがやったのだと思った。突嗟とっさの場合にも、彼はどうかしてこの犯罪を隠蔽して、哀れなエリスを救わねばならぬと焦った。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
伝吉はうしろ手に障子をしめ、「服部平四郎はっとりへいしろう」と声をかけた。坊主はそれでも驚きもせずに、不審ふしんそうに客を振り返った。が、白刃しらはの光りを見ると、咄嵯とっさ法衣ころもひざを起した。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この突瑳とっさの瞬間に、彼はしばらく気抜けのやうな驚愕を味得して、呆然としたままその思惟を一時に中絶してしまつた。
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
と、突差とっさに白い白い電灯の光がパッと眼に当った。私たちはくらくらした。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)