呪符じゅふ)” の例文
戴宗は、彼にも呪符じゅふを持たせて、大きく腹中の気をくうへぷっと吐くやいな、楊林ようりんの腕をんで飛走しだした。楊林は驚いた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妻が差出した夫人の手紙が、悪魔からの呪符じゅふか何かのように、いとわしく感ぜられた。もし、人が見ていなかったら、それを、封も切らないで、寸断することも出来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
五百年って、天竺てんじくへの旅の途中にたまたま通りかかった三蔵法師さんぞうほうしが五行山頂の呪符じゅふがして悟空を解き放ってくれたとき、彼はまたワアワアと哭いた。今度のはうれし涙であった。
「三軍すでに征旅に立つ。何のかえりみやあらん。関羽関羽と、まるで呪符じゅふのように唱えるが、彼とてよも鬼神ではあるまい」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かの大賢良師張角が、戸ごとに貼らせた黄いろい呪符じゅふもすべてはがされて、黄巾の兇徒は、まったく影をひそめ、万戸泰平を謳歌するかに思われた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今になってみると、あらゆる運命の結果は「政略」という呪符じゅふから始まっている。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)