吩附いひつ)” の例文
五十分の授業の間を隅に立たして置くなどは珍しくない事で、三日に一度は、罰として放課後の教室の掃除當番を吩附いひつける。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「おつう、四五日ねえでたつけがとやにもいくらかつたつけべ、あがつてねえか」おつぎに吩附いひつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
したら、ひとたといふらせに、口笛くちぶえかうぞ。そのはなもおこせ。吩附いひつけたやうにせい、さ。
女中に吩附いひつけて、ふかし立てのおいしさうなのを、ドツサリ取り寄せて、氣前よく女中に頒けてやつて、あとで、「さあ、食べませう。」と、自分でお茶を入れて、妹に勸めたが、彼女自身は
新婚旅行 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
この獣のやうなむすめ吩附いひつけて火をけさせるのだから、重右衛門と言ふ事が解つて居ても、それを捕縛するといふ事は出来ず、さればと言つて、娘つ子は敏捷すばしこくつて、捕へる事は猶々なほ/\出来ず
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
『それだつてなす、毎日惡い事許りして千早先生に御迷惑かける樣なんだハンテ、よくお聞き申して置いて、後で私もよく吩附いひつけて置くべと思つてす。』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
先生は大抵私に水注みづつぎの役を吩附いひつけられる。私は、葉鐵ぶりきで拵へた水差を持つて、机から机と𢌞つて歩く。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
手を叩いて更に「天麩羅二つ」と吩附いひつけた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)