君側くんそく)” の例文
宮中から御召しがあって、しばしば御所へ出仕していたが、近ごろはまた以前のように君側くんそくのお勤めをするようにと源氏から勧められて
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「世は戦塵濛々せんじんもうもう九重ここのえおくもなんとなくあわただしく、日ごとご君側くんそく奉仕ほうしに、少しのおひまもないていにお見うけ申しまする」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて輦から降りて、匍匐ほふくして君側くんそくに進むと、阿部家の奥女中が目を見合せて笑った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
帷幕いばくのうちではあり、君側くんそくまぢかにいた人々はみな槍とか長巻とかの武器は持っていなかった。また一時に
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とも輦轂れんこくもとに住んで、親しく政府の施設を見ようと云ふのである。二人の心底には、秕政ひせいの根本をきはめて、君側くんそくかんを発見したら、たゞちにこれを除かうと云ふ企図が、早くも此時からきざしてゐた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)