合圖あひづ)” の例文
新字:合図
さうして、こはい目を見つけたものが逸早く店の女へ合圖あひづをするのであつた。合圖がかゝると女は素早く窓を閉めて奧へ引き込む。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
ミラア先生は戸口の近くの腰掛に坐るやうに合圖あひづをしてから、その長い部屋の上席の方へ歩んで行つて、大きな聲で叫んだ——
「私は何んにも知りません、——でも、船の入る時の合圖あひづだけは知つてゐます。——時々見張りをさせられましたから」
それといふ合圖あひづしたに、一、二、三、同時どうじ五個ごゝ爆裂彈ばくれつだんかぜつて落下らつかした。
ればひゞき宛然さながら金鈴きんれいのごとし、これ合圖あひづ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これは半型の癖があると見破みやぶり、主人孫右衞門の窓を三つづつ三つづつ叩くと、主人は金之助の合圖あひづと思ひ込み、やつとこさと起き出して開けてくれたよ
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
リード夫人は、爐邊ろへんのいつもの席にすわつてゐた。私に、彼女は、もつと近くに來るようにと、合圖あひづした。
それは、一年前に、あの夏の夕方——この場所に私が降りたと同じ馬車であつた——どんなにか寂しく、希望もなく、目的めあてもなかつたことか! 私が合圖あひづするとそれは止つた。