叱正しっせい)” の例文
そうして、かかることについても、作家の人物月旦げったんやめよ、という貴下の御叱正しっせいの内意がよく分るのですけれども私には言いぶんがあるのです。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
一先ず作者はこれを『石狩川』の初編として上梓じょうしし、つづいて、これら移住士族のその後の過程を書き進める予定である。大方の叱正しっせいを期待する。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
以上は新型式の勃興ぼっこう惰眠だみんをさまされた懶翁らんおうのいまださめ切らぬ目をこすりながらの感想を直写したままである。あえて読者の叱正しっせいを祈る次第である。
俳句の型式とその進化 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さらにもしこの書によって識者の叱正しっせいを得ることができたならば、自分の将来の研究にとって幸福である。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
あえて読者諸氏の叱正しっせいを予期のうえ紹介すると、——ずっと以前、たんばさんの家へ泥棒がはいった。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
文名、日、一日と御隆盛、らぬお世辞と言われても、少々くらいの御叱正しっせいには、おどろきませぬ。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
次にはさらに別の方面について所見をのべて読者の叱正しっせいを待つこととする。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
図々ずうずうしい、わがままだ、勝手だ、なまいきだ、だらしない、いかなる叱正しっせいをも甘受いたす覚悟です。只今、仕事をして居ります。この仕事ができれば、お金がはいります。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
ともかくも思うままをしるして大方の叱正しっせいを待つのである。
物理学実験の教授について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)