叔父御おじご)” の例文
「は、じゃない、昨日きのう、入江先生より頂戴ちょうだいして参った免許の目録やら皆伝のまきがあろう。なぜ、叔父御おじごに、お見せ申さぬ。父にも見せい」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……一方に叔父御おじごの源次郎氏は、変人の常として、存外、用心深いところもあるので、支那人のように全財産を胴巻か何かに入れて、夜も昼も身に着けておく習慣があったかも知れない。
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
金造 (三次郎に)叔父御おじごもそれを知ってたのか。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「折角、面が出来あがったという晩に今更口論もないものさ。橋場の叔父御おじごの口も多いが、酒倉の先生の理窟りくつは世間には通りませんや、だが、も、しかしもないで済めば浮世は太平楽だろうじゃないか。あははは。」
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
ねずみの叔父御おじごがもどられて
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
「新調のご紋服や、かみしもが縫えて参りました。一度、お召しになってみるようにと、叔父御おじごや、親類の女どもが申しまする」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ねずみの叔父御おじごがもどられて
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
「行家どのは、兄頼朝にとっても、この義経にも、叔父御おじごにあたるお人であろうが」
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それも、叔父御おじごの法師にお預けとなり、伊豆の寺に閉じこめられているそうな」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
イヤ、なおりませんな。叔父御おじごにせがまれて薬は上げているものの、不治の病、ことにあの年頃——男恋しい盛りですからの。蛇精じゃせい亀血きけつすすりましても、それ、一方の煩悩ぼんのうあおるにすぎません。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(平太。また、すまんがのう、叔父御おじごのところまで、行って来てくれい)