印旛沼いんばぬま)” の例文
それが明治の初め頃まで不忍の池にんでいたそうですが、明治になってから印旛沼いんばぬまの方へ移ってしまったといいます。
江戸の化物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今度の話は印旛沼いんばぬまの庄亮君の宅を訪ねた時に初まるのだが、彼は鉄道研究会員の一人で、新聞聯盟の外報部長であるところから、鉄道省主催のこの観光団に五
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
さまで遠くない印旛沼いんばぬま周辺の村々には、春秋の祭の日に鹿島歌をうたい、踊ってあるく慣習が近い頃まであったことが、小寺君の『郷土民謡舞踊辞典』に見え
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
竪縞たてじまの通し合羽かっぱの着こなし、どう見ても、印旛沼いんばぬまの渡し場にかかる佐倉宗吾といった気取り方が、知っている者から見れば、ふざけきったもので、知らない者は
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だから、この地雷の野原を一時引きあげて、印旛沼いんばぬまの方から、遠まわりして東京へ攻め入ろうと考えた。新しい司令車から、「後の松林へさがれ。」と、号令がとどろいた。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
限り無い慾の恐ろしさ、下々の難儀も顧みず、無暗むやみに手荒な改革を思い立たれ、それを手柄と思って居られる、今度は印旛沼いんばぬま埋立うめたてじゃ、江戸十里四方の土地の召し上げじゃと
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
千葉刑務所長で名物男の根田兼治氏に誘われて母の生家のあった印旛沼いんばぬまの上にたたずみ、小学校で講演したり、縁家の佐藤氏の案内で、菩提寺へ詣ったりして、一日を過したことがある。
「ほ、ほ、印旛沼いんばぬま、手賀沼の一族でそうろよな、様子を見ればの。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「こっちは鮒か、まるで金魚みたようだな」紳士は構わず続けた、「この魚には見覚えがある、印旛沼いんばぬま手賀沼てがぬまだな、こいつも飼った鮒だ、近ごろは百姓もしゃれたまねをするようになったからな」
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
成田山吟行、印旛沼いんばぬまを舟にて渡る。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
そんなことをするよりは印旛沼いんばぬまの掘割りでもした方がよっぽど割がいいぜ
はろばろし葦原かけて湛ふれば空よりも明し大き印旛沼いんばぬま
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
印旛沼いんばぬま津々の荻原風ふけば見ゆるかぎりが皆そよぐなり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
印旛沼いんばぬまの堤のやなぎ老いにけり上げつぱなしの四つ手網の上
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)