半風子しらみ)” の例文
その時、わたしが、何をしているんですかとたずねると、半風子しらみ角力すもうをとらせているんだと答えた汚い坊さんがあったじゃありませんか
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漁夫りょうしの中を転がりまわって、半風子しらみを分け合った吾輩の眼から見ると、その奥にモウ一つ深い心理的な理由があるのだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この桶中哲人ようちゆうてつじんを思慕する事はなはだ深く、一日彼を緑したゝる月桂樹ローレルの下蔭に訪ふや、暖かき日光を浴びて桶中に胡坐こざし、彼は正にその襤褸らんるを取りひろげて半風子しらみ指端したんに捻りつゝありき。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
どういう気持か分りませんが、ああやって、半風子しらみとばかり仲よくして、乞食みたいに、諸国をふらふらしているんですって。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
春はよいが、半風子しらみのやつめ、藤原道長のように、この世をばわがもの顔に振舞うから、一思いに今、洗濯したのさ。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、それに使はれる猿もなかなか摺れてゐて、飼主の待遇が惡いと、絶壁の上へ行つても、自分の半風子しらみをとつてゐたり遊んだりばかりしてゐて、なかなか人間の意志のままにならない。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
愚かな身に住む半風子しらみまでが不愍ふびんになる。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)