半死半生はんしはんしょう)” の例文
気の毒なのは市五郎で、ポカポカと八方からこぶしの雨を蒙って、半死半生はんしはんしょうていにまで袋叩ふくろだたきにされてしまいました。
彼は片手に半死半生はんしはんしょうの酔漢を抱えあげた。そしてすっかり救命者になって、酔漢を助けながら、のそのそと堀から上ってきた。二人とも泥まみれのねずみであった。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ただ乾いた山砂の上にこまかいありが何匹も半死半生はんしはんしょう赤蜂あかはちを引きずって行こうとしていたのです。赤蜂はあおむけになったなり、時々けかかったはねを鳴らし、蟻の群をい払っています。
手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
半死半生はんしはんしょうどろねずみとなって、泣くにも泣けぬ蛾次郎先生、いのちからがら浜松の城下を、鷲にのって逃げだしたはいいが、夜に入るにしたがって、空天くうてん寒冷かんれい骨身ほねみにてっし、腹はへるし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半死半生はんしはんしょう息も絶え/″\になりましたが、口惜しいから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半死半生はんしはんしょうのていでベッドにもぐりこんでいたが、それから後、元気をとりかえして、いま船橋せんきょうに立っているが、船中の眼が見えないさわぎのうちに、ぼくだけは少し見えるので意外に思っているわけさ
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)