トップ
>
午砲
>
ドン
ふりがな文庫
“
午砲
(
ドン
)” の例文
午砲
(
ドン
)
の鳴る頃、春桃は、いつもの通り屑籠を背負ってとある市場へ来かかった。突然入口で「春桃、春桃!」と呼びとめた者があった。
春桃
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
朝のおそい私だつたので、默つて差し向ひになつてゐる耳もとで
午砲
(
ドン
)
があわただしく鳴つた。多分もう歸へるだらうと思つてゐると、顏役は
蒼白き巣窟
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
この間からジリジリと燃え
詰
(
つま
)
って来たのが、昨日の正午——すなわち大正十五年の十月の十九日の
午砲
(
ドン
)
が鳴ると殆ど同時に物の美事に爆発したのだ……ナアニ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
結い了う頃は最う
午砲
(
ドン
)
だけれど、お昼はお
腹
(
なか
)
が
満
(
くち
)
くて食べられない。「
私
(
あたし
)
廃
(
よ
)
してよ」、という。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「もうすぐに、
午砲
(
ドン
)
じゃないか。そんな
寝呆
(
ねぼ
)
けた頭で外へ出ると、すぐに、御用になるよ」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
薄暗いやうな空に
午砲
(
ドン
)
が
籠
(
こも
)
ツて響いた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
お察しの通りです。
午砲
(
ドン
)
が聞えたら警察に自首して出ろ。その通りにしなければお前は
生命
(
いのち
)
が危い。そうしてもしその通りにしたならば
妾
(
わたし
)
がどこからか千円のお金を
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
十二時の
午砲
(
ドン
)
を聞きますと同時に、鍬を投げ出して病室に帰って、サッサと食事を済まして、ゴロリと寝台の上に横になるところまで、五代前の儀十の生れ代りとしか思えませぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それは
午砲
(
ドン
)
であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“午砲”の解説
午砲(ごほう、Time Gun、Noon-day Gun)とは時間を知らしめる(時報)ため撃つ大砲(空砲)のことである。日本では正午に撃つことが多かったため、正午の砲として午砲と称され、俗に「昼ドン」あるいは単に「ドン」と呼ばれた。初めて午砲を制度化したイギリスでは1日の間に数回撃つ例もあり、特に報時の回数、時間に決めは無い。午砲を撃った場所は午砲台もしくは午砲所と呼ばれた。
(出典:Wikipedia)
午
常用漢字
小2
部首:⼗
4画
砲
常用漢字
中学
部首:⽯
10画
“午”で始まる語句
午
午後
午飯
午前
午餐
午過
午睡
午頃
午食
午刻