おど)” の例文
「おお、居ねえ、居めえよ、おめえ。一つおどかしておいて消えたずら。いつまでもあらわれていそうな奴じゃあねえだ。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
首と衣を手に入れた山賊は、暫くその二品ふたしな資手もとでに、木曾街道の旅人をおどしていたが、間もなく諏訪すわの近くへって首の由来を聞いた。山賊は青くなった。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「村の方へ走ったで、留守は、女子供だ。相談ぶつでもねえで、すぐ引返ひっかえして、しめた事よ。おめえらと、おらとで、河童におどされたでは、うつむけにも仰向あおむけにも、この顔さ立ちっこねえ処だったぞ、やあ。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)