とど)” の例文
これかのお通の召使が、いま何人なんぴとも知り得ざる蝦蟇法師の居所を探りて、納涼台すずみだい賭物かけものしたる、若干の金子きんすを得むと、お通のとどむるをもかずして、そこに追及したりしなり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉄をかばい、なだめてもとどめてもかしらってがえんぜず、「よう、頼むよ。後生だから。」と心弱き美人は声曇らすに、お丹ようやく手をゆるべ、と座に直りて煙管を杖、片手に煙草を引寄せたり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)