切角せつかく)” の例文
そこで某雑誌に書いたやうな、歴史に趣味を有する人でも、切角せつかくの大槻さんの発表に心附かずにゐることになるのである。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
切角せつかくの伊太利の熱血には山羊の乳をぜられたり、「ラ、トラツプ」派の僧侶めきたる制欲は身を病ましめたり、馴れたる小鳥一羽ありて、美しき聲もて汝を
藤八はコレ/\お節どうした者だせめて九助が死なぬ中あはせて遣度やりたく漸々やう/\と是迄折角せつかくかけ付しに何にも言ずなき居ては切角せつかく逢し甲斐かひもなし云たき事の有ならばはやく云てと急立るにお節は漸々顏をあげをつとの姿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
切角せつかく発散した鹿台ろくたいの財を、いたづら烏合うがふの衆のつかみ取るに任せたからである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)