凸額おでこ)” の例文
骸骨コツを渋紙でり固めてワニスで塗り上げたような黒光りする凸額おでこの奥に、硝子玉ガラスだまじみたギラギラする眼球めだま二個ふたつコビリ付いている。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼は碌々ろくろく話も交えない労働者らの間にあって、人れない気圧けおされたような様子をしてる凸額おでこの少年の病的な顔つきを、始終観察していた。
考え深そうな凸額おでこが黙々としていた。然しその下から覗いてる眼に、困ったような色が浮んでいた。いやに隠してるのだな、と周平は思った。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
骸骨を渋紙しぶがみで貼り固めてワニスで塗上げたような黒いガッチリした凸額おでこの下に、硝子球ガラスだまじみたギョロギョロする眼玉が二つコビリ付いている。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
頭の大きなわりにほっそりとした体躯、凸額おでこの中から睥めるように物を見る眼、小鼻の小さな高い鼻、細い腕、長い指、それらが変に不気味だった。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
前髪を掌で後ろになで上げて、いい生際はえぎわだと云った。そして次には、大きな凸額おでこだと云った。「大きなおめめだこと、」と云いながら、その眼瞼に接吻した。
子を奪う (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
隆吉の高い凸額おでこが瀬戸物のようにこちこちして見えた。窶れてほっそりとした頬の中に、高く薄い鼻がすっと通っていた。周平はそれを見てると変な気になった。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
順造はそっと寄っていって、順一の円っこい凸額おでこに一寸手をやってみた。ふうわりした温かさがあった。
幻の彼方 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
下卑た凸額おでこの下に、どんよりした眼が凹んでいたが、口許のあたりに、濡いのある初々しさが漂っていて、だらりと餉台の上に投げ出されてる、手首から指先の肉附など
悪夢 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
馬鹿に大きな凸額おでこの下に、頣の尖った長い顔がついていた。
幻の彼方 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
円っこい凸額おでこだった。
幻の彼方 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)