内海うつみ)” の例文
尾張国内海うつみというところまで来たときは、てっきりそこが、最後だと思った。というのは、故左馬頭義朝が討たれたゆかりの地だったからである。
そら、そこに、向ふに、山が見えるでせう、あれが、内海うつみの秋葉山です。あれで、知多では、一番高い山です。
知多の野間で (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「府中の寺院、町道場など、武芸者の立ち寄りそうな箇所へは、安積あさか様、内海うつみ様などが、手分けして調べて参るといっておりましたが、まだあの六名がたは」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
捺染物なせんもの綿めんネルやまた家具の如きも、産額は大きなものでありますが商品にとどまるというだけであります。それより黒江くろえ町の漆器や内海うつみ町の番傘の方が記録されてよいでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
映画脚本作家内海うつみ某が一番若く、平均年齢はまづ四十五六といふところであらう。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「イヤ結構……結構も可笑おかしい、アハハハハハ。トキニ何は、内海うつみは居ますか」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「皆もう多少来ている。内海うつみ君を見給え。僕よりもひどいや」
母校復興 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
飛ぶものは尾翼びよく平らに今あらし瀬戸の内海うつみの夏夕霞
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「武蔵どのの、この御書面をたずさえてすぐ、内海うつみ孫兵衛丞どのや、そのの衆に、廻状いたして来い」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戦後新免伊賀殿の内の六人衆といわれる内海うつみ孫兵衛、安積小四郎、香山半兵太、船曳杢右衛門、井戸亀右衛門、木南加賀右衛門などとよぶ家臣たちが、小倉に流れて来て、小さな借家に同居し
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見れば、席というのは、河原へ敷いた二、三枚のむしろでしかない。その莚の上に、最前の香山、内海うつみの二老人をかしらに、井戸亀右衛門丞かめえもんのじょう船曳杢右衛門丞ふなひきもくえもんのじょう安積あさか八弥太など、膝も崩さず坐っていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)