其様さう)” の例文
旧字:其樣
ト云うて、貴官あなたの方へは、彼の罪迹ざいせきを何か報告せねばならぬでせう——イヤ、其様さうせねば貴官あなた御機嫌ごきげんが悪いでせう——けれど実を言ふと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
其様さう手軽く恋愛が成り立つものでない、其れが自分のヤマで、此の男主人公と、其の夫人——常に基督キリストの教訓を真向にかざして、博愛事業に関係してゐる
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
つまり、貴方あなただつて、何時いつか一度は、御奥さんをもらつもりなんでせう。いやだつて、仕方がないぢやありませんか。其様さう何時迄いつまでも我儘を云つた日には、御父おとうさんにまない丈ですわ。だからね。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
昨夜ゆうべ阿父おとつさん阿母おつかさんと話していらしつたんですよ、早く其様さうめて松島様の方へ挨拶あいさつしなければ、此方こちらも困まるし、大洞おほほらの伯父さんも仲に立つて困まるからつて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
最も品位を落とせば、種々の職業が有らうが、其様さうはゆかぬ……といふので婦人の職業問題が起つて居るらしいが、婚姻に持参金の準備よういが要る国柄である丈け、日本よりは何んだかひどいやうである。
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
「所が言葉の使ひツぷりから察しると、其様さうらしくも無い、馬鹿丁寧なこと言ひ合つてるだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)