公辺こうへん)” の例文
旧字:公邊
綱宗の不行跡が公辺こうへんにまで聞えたとのうわさに、一門、一家、老臣ども合議のうえ、綱宗に隠居のおゆるしのあるよう願い出ました
眺めて暮す。……それが唯一の希望のぞみじゃ。オオ、そういえば五百之進殿、お願いしておいた公辺こうへんへのお届けは
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諏訪部三十郎は病気で御出役が無かったのだが公辺こうへんのお首尾が悪く、百日の間閉門仰付おおせつけられますると云う騒ぎ、座光寺源三郎は勿論深見の家も改易に相成りまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その子息の一人を跡目あとめにして、養子願さえすれば、公辺こうへんの首尾は、どうにでもなろう。もっともこれは、事件の性質上修理や修理の内室には、密々で行わなければならない。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こうなるからは誰ぞ公辺こうへん知人しりびとを頼り内々ないない事情を聞くにくはないとかね芝居町しばいまちなぞではことほか懇意にした遠山金四郎とおやまきんしろうという旗本の放蕩児ほうとうじが、いつか家督をついで左衛門尉景元さえもんのじょうかげもとと名乗り
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)