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兇悪
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きょうあく
ふりがな文庫
“
兇悪
(
きょうあく
)” の例文
旧字:
兇惡
がまんできぬ屈辱感にやられて、風呂からあがり、脱衣場の鏡に、自分の顔をうつしてみると、私は、いやな
兇悪
(
きょうあく
)
な顔をしていた。
新樹の言葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
兇悪
(
きょうあく
)
四馬剣尺を向うにまわして、少年探偵団の働きやいかに。淡路島の上空に、いまや、ただならぬ風雲がまきおこされようとしている。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
都会の
兇悪
(
きょうあく
)
な相貌がぐるぐると胸裡を駆けめぐりそれは一瞬たりとも彼のようなものの
拠
(
よ
)
りつけそうにない場所に変っていた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
我を切り、突き、剜らんとする一切
兇悪
(
きょうあく
)
の
刀槍剣戟
(
とうそうけんげき
)
の類は、我に触れんとするに当って、其の刃頭が皆
妙蓮華
(
みょうれんげ
)
の
莟
(
つぼみ
)
となって地に落つるを観た。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
昼間は指物師をやり市会議員を勤めていたが、夜になると一変して
賭博者
(
とばくしゃ
)
となり、
兇悪
(
きょうあく
)
な強盗となって活躍した。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
かざした炬火は、炎と
煤
(
すす
)
とで、赤くただれ、
兇悪
(
きょうあく
)
な形相をした生きもののようにのたうちまわった。人々は、半面を照らされたり闇に埋められたりした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
狐と大力とは別に関係はないわけだが、狐の
兇悪
(
きょうあく
)
な性質を受けたと見え、現在の
闇市
(
やみいち
)
の親分のように、商人をいじめては、いろいろな品物を
奪
(
うば
)
いとっていた。
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それが、背中を丸くして、サッと走って行くうしろ姿に、なんともいえぬ醜怪な、
兇悪
(
きょうあく
)
なものが感じられた。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、
何人
(
なんぴと
)
も、この坊主の前身を、ほんとうに気がついているものはすくなかろう——鉄心庵現住の、大坊主、これこそ、その道では名の通った、島抜けの
法印
(
ほういん
)
という、
兇悪
(
きょうあく
)
な
代
(
しろ
)
ものなのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
チベット行は、うやむやになったが、勝治は以来、恐るべき家庭破壊者として、そろそろ、その
兇悪
(
きょうあく
)
な風格を表しはじめた。
花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
わしのにらんだところによると、宇宙のどこかに、
兇悪
(
きょうあく
)
な宇宙の猛獣とでもいうべき奴がひそんでいて、みんなそれに喰われてしまうんだどおもうよ
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
むやみに
甚
(
ひど
)
い悪者にされて居る原田甲斐は、其の実
兇悪
(
きょうあく
)
な者では無い、どちらかと云えばカッとするような直情の男だったろうと思われるが、其の甲斐は即ち此の宗時の末だ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
殊
(
こと
)
にも山賊の父から
兇悪
(
きょうあく
)
の血を受け、いまは父の真似して女だてらに旅人をおどしてその日その日を送り迎えしている娘だ。胸がもやもやとなり、はや、人が変り、うわべはおだやかに笑いながら
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
兇
漢検準1級
部首:⼉
6画
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
“兇悪”で始まる語句
兇悪無慙
兇悪無残