兄嫁あによめ)” の例文
ところが、榮三郎はお吉を殺して貰つたのは、多之助の女房のお若に氣があるからで、多見治は、兄の身上しんしやうも欲しいが、それよりも兄嫁あによめが欲しかつた
両親の墓へその当時植えた松や杉は、もう大きくなって人の背丈せたけどころではなかろう。兄はもちろん六十を越してる。兄嫁あによめは五十六だ。自分は兄嫁より十しか若くはない。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
なしければ清兵衞は弟に向ひ長兵衞是は我等が女房なり以後心安こゝろやすく頼む又遇々たま/\來りしに兄嫁あによめなどと思ひ遠慮ゑんりよしては面白おもしろからずひらに心安くなし呉よもしともしゆ遠慮ゑんりよがあつてはわるい心安く御頼おたのみ申と兄弟中の水入みづいらずさしおさへつやゝしば酒宴しゆえんにこそは及びけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「兄の市之助と血を分けた兄弟とは思へませんよ、堅くて正直で、兄嫁あによめ思ひで——」