優姿やさすがた)” の例文
宮内はその頃になって、会津若松の小屋に帰ってきた、色こそ黒くなったが、優姿やさすがたは足かけ三年の今でも、元と変るところが更になかった。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
鏡葉之助は美少年、女のような優姿やさすがた。しかも一人だというところから、あなどりきって構えもつけず、さっと横撲りにかかって来た。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
少し心安くなると、蛇の目の陣におそれをなし、山のの霧に落ちて行く——上﨟じょうろうのような優姿やさすがたに、野声のごえを放って
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われわれが出発前推測した通り、飯田松川はその全体を通じて、あふれる平和な優姿やさすがたの中に、無量の感慨をこめてくすぐるようにささやく愛の言葉を持っていたのである。
二つの松川 (新字新仮名) / 細井吉造(著)
所詮は鬼武の「自来也物語」を焼き直したものであるが、主人公の盗賊児雷也を前茶筌の優姿やさすがたにして、田舎源氏の光氏式に描かせた趣向がひどく人気に投じたらしい。画家は二代目豊国である。
自来也の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
徳三郎の優姿やさすがた見初みそめて、顔をあんずのやうにあかくした。
たとへば、君が優姿やさすがた
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)