僧侶ばうさん)” の例文
この山国に住む人々を分けて見ると、大凡おおよそ五通りに別れて居ます。それは旧士族と、町の商人と、お百姓と、僧侶ばうさんと、それからまだ外に穢多といふ階級があります。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ある日のひる過ぎ、いつものやうに慌てて入つて来た。心安立こゝろやすだて碌々ろく/\挨拶もしないで、膝を進めたと思ふと、其処そこに居合はせた娘の伯父の手を取つた。伯父は密源といつて頭をまるめた僧侶ばうさんであつた。
きつね永昌寺えいしやうじにはひました。永昌寺えいしやうじとは、とうさんのむらのおてらです。そのおてらに、桃林和尚たうりんをしやうといふとしとつた和尚をしやうさんがんでました。この僧侶ばうさんこゝろひとでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)