修繕なお)” の例文
不思議に思って、江戸でたった一軒の、和蘭物オランダもの修繕なおす家で訊くと、近頃ギヤマンの懐中鏡の水銀を貼り替えたのは、お寿じゃなくてお政だった
窩人達は元気よく各自めいめいの仕事にいそしんでいた。旗を作る者、のぼり修繕なおす者、提灯ちょうちんを張る者、幕をこしらえる者——笑い声、話し声、唄う声が部落中から聞こえていた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『てめえ位、ねこかぶりはねえぞ。屋根を修繕なおさねえうちは家賃はやれねえからそう思ってくれ』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裏の方の屋根が少し損じたから其の内に修繕なおさせます、お前さんは能く毎日寒さ橋へおなさる、此の寒いのに名さえ寒さ橋てえんだからぞお寒かろう、ピュー/\風で、貴公あなたはお幾歳いくつです
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家主おおやさん、水口みずぐちしきい修繕なおしてくれなくっちゃ困るじゃねえか。もう腐っているんだ』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大工ののみの音が濠の水へよい音をひびかせている。大手の刎橋はねばしちた部分を修繕なおしているのだ。二の丸のどてには、草摘み女の菅笠すげがさが沢山にたかっている。松には庭師が登っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの中のご仏像を、やはり、修繕なおしにゆきました」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)