侍側じそく)” の例文
それッと、待ちかまえていた信長の侍側じそくが、戦況の報告を聞き、或いは、前線から来た軍状を取り次ぎ、信長の前に披露する。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍側じそくには、土井、本多ほんだ、酒井などの閣臣や近習衆きんじゅうしゅうをはじめ、僧侶などの姿も見え、秀忠はやや小高い所に床几しょうぎを呼び、そこに一休みしていた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それのみでない。かえりさえすれば、侍側じそくの公卿、供奉ぐぶはいも、なべて過去を問わず、みな元の本官本領に復すとそちは申し出ていたはずだった」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「えへん」次の間に、侍側じそくしている御弟子みでしがございます——ということを知らせるつもりで、軽くしわぶきをした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、侍側じそくも諸将も、またあらゆる文化面の人たちも、信長にまみえるときは、精進潔斎しょうじんけっさいの心地で接しる。挙止一語半句、みだりにも笑わず、かりそめに戯れない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、侍側じそく加治与惣兵衛かじよそべえと、老臣の河合寸阿弥かわいすんあみである。顔見あわせるなり、詫びるように
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とかく、そう偉材な天質と観るものは、まず、羽柴家の家中でさえ、十人のうちに一人とはないらしいが、竹中半兵衛は、この人に侍側じそくし、この人のために半生を送ったことを、今とても
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍側じそくの士や閣臣たちや、僧侶や茶道衆や、秀忠の床几しょうぎのまわりには勿論多くの警固がついているが、さらにその小高い場所を中心にして、遠巻きに要々かなめかなめには、見張りの警戒が二重にそこを隔てている。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍側じそくの人々は、それをいつも、苦々しい顔して、白眼視していた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)