佳什かじゅう)” の例文
近き頃森田草平もりたそうへいが『煤煙ばいえん小粟風葉おぐりふうようが『耽溺たんでき』なぞ殊の外世に迎へられしよりこのていを取れる名篇佳什かじゅう漸く数ふるにいとまなからんとす。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
自己が唯一の俳人とあがめたる其角の句を評して佳什かじゅう二十首に上らずという、見るべし蕪村の眼中に古人なきを。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
杜子美としびと云えば云うまでもなく、盛唐一、二の大詩人であるから、その詩集は金玉の佳什かじゅうで埋っているかのように思う人もあろうが、その実駄作も随分あるというは苦労人間の定説であるとの話だ
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
果して『新俳句』刊行後『新俳句』を開いて見るごとに一年は一年より多くの幼稚と平凡と陳腐とを感ずるに至り今は『新俳句』中の佳什かじゅうを求むるに十の一だも得る能はず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「飛ぶわしの翼もたわに」などいえるは真淵集中の佳什かじゅうにて強き方の歌なれども意味ばかり強くて調子は弱く感ぜられ候。実朝をしてこの意匠を詠ましめばかような調子には詠むまじく候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
「飛ぶわしの翼もたわに」などいへるは、真淵集中の佳什かじゅうにて強き方の歌なれども、意味ばかり強くて調子は弱く感ぜられ候。実朝をしてこの意匠を詠ましめば箇様な調子には詠むまじく候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
小生も追々衰弱に赴き候につき二十句の佳什かじゅうを得るために千句以上を検閲せざるべからずとありては到底病脳の堪ふる所に非ず候。何卒なにとぞ御自身御選択ごせんたくの上御寄稿被下候様くだされそうろうよう希望候。以上。(二月十二日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)