仙丹せんたん)” の例文
みずから仙丹せんたんをかんでくちうつしにのませてくれるほどやさしい居士も、竹童が正気しょうきにかえるとともに、いつもの気むずかしい厳格げんかくなすがたにもどっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仙丹せんたんに練り上げて、それを蓬莱ほうらい霊液れいえきいて、桃源とうげんの日で蒸発せしめた精気が、知らぬ毛孔けあなからみ込んで、心が知覚せぬうちに飽和ほうわされてしまったと云いたい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あなたは不思議な仙丹せんたんを魂の壺にくゆらせて
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
白衣はくい白髯はくぜん老道士ろうどうし、片手を彼の首にまき、片手を胸にまわして、わがひざきながら、なにやら、かんばしい仙丹せんたんみつぶして、竹童の口へくちうつしにのませてくれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)