什宝じゅうほう)” の例文
旧字:什寶
「伊那丸どの、お返し申すしなはこのなかにある。すなわち、それは武田家たけだけのご再興さいこうになくてかなわぬ什宝じゅうほう御旗みはた楯無たてなし名器めいきでござりますぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御承知でもござろうが、日光什宝じゅうほうのうち、まずその筆頭にあげられるのは、本坊輪王寺に納めある開山上人かいさんしょうにん御作ぎょさくの、薬師仏やくしぶつ御木像ごもくぞう一体……」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
会津の或る寺でも守鶴西堂しゅかくせいどう天目てんもく什宝じゅうほうとし、稀有けうの長寿を説くこと常陸坊海尊同様であったが、その守鶴もやはり何かのついでに微々として笑って、すこぶる自己のじつは狸なることを
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と、いいつけ、綾羅りょうら百匹、錦繍きんしゅう五十匹、金銀の器物、珠玉の什宝じゅうほうなど、馬につけて贈らせた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしとは深い御縁があるので、生き遺物がたみとも思し召し、思い出の地の山水を絵付えつけして、特に丹精をこらしてつくられた香炉じゃが、寺に納めておけば、末代まで長く什宝じゅうほうとして伝わるであろうから——
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)