たり)” の例文
(此時仲禎卿雲初見)余が今日は美日なれば、今より駿卿へいひやりて墨田の春色賞するは如何いかにと問ぬ。二人そもよかるべしと、三たりして手紙したゝめし折から、駿卿来かかりぬ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
と女の子のあどけないのが幾たりか声を揃えて唄うのが、町を隔てて彼方あなたに聞える。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吉田仲禎(名祥、号長達ちやうたつとがうす、東都医官)、木村駿卿、狩野卿雲、此四たり余常汝爾之交よつねにじよじのまじはりを為す友也。享和之二二月廿九日仲禎君と素問合読がふどくなすとてゐたりしに、卿雲おもはずもとぶらひき。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)