人立じんりつ)” の例文
大学の廊下を人立じんりつして、のさのさと推寄おしよせた伝吾が、小使に導かれて、生理学教室のドアに臨んだ時、、恋のかたきの葛木は、とうひじつき椅子に柔く腕を投げて、仰向けに長くなって
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山も、空も氷をとおすごとく澄みきって、松の葉、枯木のきらめくばかり、晃々きらきらがさしつつ、それで、ちらちらと白いものが飛んで、奥山に、熊が人立じんりつして、針をくような雪であった。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わめくや否や、狼のように人立じんりつして、引包ひッつつんでとびかかった。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)